木質バイオマスとサスティナブルな社会づくり

バイオマスとは

バイオマスは一般に「再生可能な生物由来の有機性資源(化石燃料は除く)」と定義されます。バイオマスとして利用可能な発生源の種類は多く、林業系(林地残材、製材端材、チップダスト等)、農業系(わら類、バガス、エネルギー作物等)、畜産系(糞尿、動物性残渣)、廃棄物系(家庭ゴミ、廃植物油、古紙、木くず等)などが含まれ、その発生源、性状、用途は多種多様です。

木質バイオマス

木質バイオマスには、主に、樹木の伐採や造材のときに発生した枝、葉などの林地残材、製材工場などから発生する樹皮やのこ屑などの製材工場等残材、住宅の解体材などの建築発生木材、その他に街路樹の剪定枝や道路支障木などの種類があります。

木質バイオマスは、化石資源の代替エネルギーとして、また温暖化対策にも寄与するエネルギー源として注目されています。しかし、その約半分が未利用であり、特に林地残材や建設発生木材の利用率の低さが目立ちます。一口に木質バイオマスといっても、発生する場所(森林、市街地など)や状態(水分の量や異物の有無など)が異なるので、それぞれの特徴にあった利用を進めることが重要です。

木質バイオマスの種類

林地残材 林業生産活動を通じて発生する未利用間伐材、枝葉や梢、松食い虫被害木等。
製材工場等残材 製材工場、合板工場、プレカット工場などの製造過程で発生する端材、樹皮等。
建設発生木材 建築物等の建築・改築・除去に伴い発生する木くず。型枠、足場材、内装・建具工事等の残材、伐根・伐採材等。
その他 上記以外の、道路支障木、ダム流木、公園樹・街路樹・果樹等の剪定枝、廃パレット等。

木質バイオマスの発生量と利用現況

  • 本資料は平成18年12月に作成されたもので、平成17年のデータを中心に推計されている。

【出典】木質バイオマスの新利用技術アドバイザリーグループ(平成20年5月20日 林野庁)第1回会合「資料2」より作成

かつての暮らしの中では、薪や木炭などが燃料の主役でしたが、40年ほど前からは、石油などの化石燃料を大量に消費する社会へと変わってしまいました。しかし現在、地球温暖化防止、循環型社会形成などの観点から木質バイオマスが脚光を浴びています。

地中深くに眠っていた石油などをエネルギーとして利用すると、地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素が大気中に放出されます。木材を燃やしても化石燃料と同じように二酸化炭素が放出されますが、それは元々樹木が光合成によって吸収したものであり、大気中の二酸化炭素を増加させません。利用した木材の分、再び木を植えれば光合成によって二酸化炭素が吸収されて木材の中に炭素として蓄積されます。木質バイオマスは、循環的に利用している限り持続的に再生可能な資源、クリーンなエネルギー源であると言えます。

【コラム】カーボンニュートラル

バイオマスは、もともと空気中の二酸化炭素が光合成により取り込まれて生成されたものであることから京都議定書の枠組みでは、バイオマスを燃焼するなどして二酸化炭素が発生しても排出量にカウントしないことになっており、これを「カーボンニュートラル」といいます。

バイオマスを化石燃料に代わるエネルギー源として利用すれば、代替した分の二酸化炭素排出量を削減したことになります。

  • グラフは「森林・林業白書(平成16年度)林野庁編」をもとに作成。