熊本県立阿蘇中央高等学校 阿蘇清峰校舎

農業高校として111年の歴史を持つ阿蘇清峰高校が2009年に県立阿蘇高校と統合し、阿蘇中央高校が誕生しました。阿蘇清峰校舎には、農業食品科、グリーン環境科、社会福祉科の3つの科があり、およそ350名の生徒が通っています。阿蘇北外輪山を背に、校舎正面に阿蘇五岳を望む校舎は、周りに実習の農場などが広がる静かな環境です。

目当ての薪ストーブは、校舎本館2階の図書室にありました。お話をグリーン環境科の鳥江太介(とりえだいすけ)先生と図書館司書の藤掛真代(ふじかけまさよ)先生にお伺いしました。

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薪ストーブを設置されたのはいつですか。

平成25年度の日本郵便年賀寄付金の助成を受け、平成25年9月に工事を行いました。

学校校舎ですから、薪ストーブとはいえ校舎内で火を焚くことについての危険性などを事務局も心配していました。私自身も防火・断熱対策の為に床や壁を補強する大掛かりな工事になるのだろうと思っていたのですが、実際の工事は、薪ストーブ専門の業者によって2日間で済みました。床板はそのままで厚い鋼板のプレートを敷くだけでしたから、目立って変わったところは後ろの窓ガラスが1枚だけ鋼板になり、そこから煙突が出ていることでしょうか。壁とストーブの間には遮熱板を立てるだけで十分対策できるということでした。大変だったのは、2階まで重たいストーブを運び込む時だったのではないかと思います(笑)。ストーブはダッチウエストのマジェスティックコンコードで、図書室の広さも考慮した大型のもので、さらに針葉樹の薪も使えるという理由で選ばれました。火入れ式を行い実際に使い始めたのは11月22日でした。

薪の調達はどうされていますか。

この冬は準備がありませんので、他所から分けていただくことになりましたが、これからは学校の演習林を活用し、グリーン環境科の生徒と一緒に切出しなどを行い確保していきます。針葉樹が使えるストーブを選んだ理由もそこにあります。

日々の管理は藤掛先生ですか。

朝の焚き付けのときに中の灰を簡単に掃除するくらいで私の手間はあまりかかりません。掃除の時間に生徒がストーブ周りの掃除と薪の補充をしてくれますし、薪割りも生徒がやってくれます。このストーブの薪の補給は横の扉からなので長めの大きな薪が入れられ、火持ちも良いのですが、部屋が広いのでいつも火力を上げている状態ですからウッドラッ クに乗せている薪で半日分くらいです。

扱いは慣れましたか。

幸いなことに4名もの先生がご自宅で薪ストーブを使っていらっしゃるので、その先生方から着火のコツや薪投入のタイミングなど色々と教えていただいています。

図書室の暖房は薪ストーブだけですか。

基本的には薪ストーブだけです。朝8時から夕方は6時くらいまでの使用です。1時限目に学習授業があるときだけは早く部屋を暖める為にボイラーを併用することがありますが、ずっと使うことはありません。

図書室に薪ストーブが入って変化したことはありますか。

図書室の利用者数が徐々に増えています。また、生徒が調べものをしながら授業を進める「学習授業」で利用される機会も以前よりも多くなったので先生方にも好評ということかなと思います(笑)。始業時間前に利用する生徒も目立ちます。これまでのように机に向かって自習する生徒に加え、ストーブの周りに並べた小さな椅子や、床に直接座ってゆっくりと本を読む生徒が増えて場所の取り合いをしているようです(笑)。周りに柵はありませんが、元々図書室自体が静かに過ごす場所なので、ふざける生徒もいなく危険だと感じたことはありません。その点では心配ないと思います。

この図書室は入口で上履きを脱ぐことになっています。これまでは暖房が入っていても床が冷たく底冷えして靴下だけの足元では長時間の利用が辛かったようですが、薪ストーブになってから、室内の温度は変わりませんが、床の冷たさが気にならなくなり「冬の図書室は寒い」というイメージを払拭してくれたようです。

授業で森林資源や環境について学びながら、自分たちで薪を準備し、実際に薪スーブを使う。しかも場所は図書室。薪ストーブがあることでさらに図書室に親しみ、ここでたくさんの本との出会いがあればいいなと思いました。

平成25年度日本郵便株式会社年賀寄附金助成により薪ストーブの設置を行いました。

住所 阿蘇市一の宮町宮地4131番地
電話 0967-22-0045
URL http://sh.higo.ed.jp/asochuohs/